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犯罪歴のある人間は車の売買も許されないのか。~仲介業者の闇~

逮捕され、執行猶予付きの有罪判決を受けて社会へ帰されたものの、精神的に参ってしまい未だに働けない状態の私ですが、そんなニート同然の生活ももう2年半が経ちました。

 

収入は貯金の切り崩しを続けるばかりで、節約はしていても先細る一方です。会社員をやっているうちに貯めたお金など、働かなくなって使うばかりになれば瞬く間に消えていきます。

 

既に無職になってから2年以上経過している私は無収入の人間として公的費用の支払いは抑えられていますが、それでも生活を維持していくためには家賃や光熱費、最低限の食費も払わなければならないし、田舎では生活の足としてクルマが無ければ生きていけませんので、軽自動車だけでも維持する必要があります。

 

そんな暮らしをしていると毎月10万円弱の出費は覚悟しておかなければなりません。1年で120万円、2年半で既に300万円くらいのお金をただ消費してきたことになります。

 

そんなお金、会社を辞めた時点では銀行口座にありませんでしたが、趣味で集めてきた鉄道模型の売却で、ささやかではありますが生活の足しになるお金を作ることは出来ました。

 

 

しかし、そんな中で今の生活を支える基盤となったのは、沼津に住んでいた頃に乗っていたクルマの売却です。

 

私はクラシックカーと呼ばれる旧いクルマが好きで、自動車整備士として学んできたかいもあって自分で手を掛けながら昔の車を所有することが喜びでした。

 

当時、私は古いイギリス車に乗っていて、日本国内ではあまり見かけない希少な車でしたので、当時200万円以上の値段で購入しました。

 

それを約5年間保有し、昨年手放したのですが、その希少さもあってか売却時は購入費用と同じくらいの金額で売ることができ、まとまったお金を手元に残すことが出来ました。

 

もし、当時同じ200万円でどこにでもある国産車を買っていたら、きっと手放す頃には50万円以下の二束三文になっていて、今頃既に私の生活は破綻していたことでしょう。

 

それを今でものうのうとニートしていられるのは、あの車が私のところに来てくれたからに他なりません。

 

持っているだけで価値が消えていく今時の車と違い、いつまでもその価値を保ち続けてくれるクラシックカーのおかげで、今の私は命を救われていると言ってもいいと思います。

 

 

それだけなら記事にするまでもない話なのですが、最近その売買の過程で衝撃の事実が発覚したのでこうして記事に書くことにしました。

 

 

売却した時、一般的な中古車屋で売りたくなかった私は、趣味性が高い車の個人売買を仲介してくれる「セイヤー(SEIYAA)」というサイトに依頼して出品してもらいました。

 

その時、購入してくれた人(以降は新オーナーさんと呼びます)は私よりずっと年上の人でしたが、売買を終えた後も整備に関するサポートをして欲しいとのことで、個人的に連絡を取り合うようになりました。

 

そんな新オーナーさんが最近私の住んでいる町へ遊びに来て下さったのですが、当時の話を振り返り、こんなことを言ってくれたのです。

 

 

「加納くんが頼んでたセイヤーのナカタニトレーディングっていう仲介業者いるでしょ?あそこさ、加納くんに前科があることを取引終わってから俺に告げ口してきたんだよ。」

 

 

それを聞いてとてもショックを受けました。

 

いくら実名報道の記事がネットに載っているからとはいえ、顧客の犯罪歴を勝手に調べ、他人に告げ口する会社が存在するのかと思うと、同時にとても恐ろしくなりました。

 

その場を取り乱さないようメンタルを必死に抑え込みながら話を聞きましたが、胸の内では湧き上がる負の感情がこらえられなくなりそうでした。

 

 

振り返ってみれば、当時の取引はあまり後味の良いものではありませんでした。

 

このサイトでは車を売りたいと言っている人の車を担当者が取材しに来て、その取材をもとに販売用のページを作成し、購入希望者が現れたら売買のやりとりを仲介して、売買が成立したら手数料をもらうという形で運営されています。

 

担当者というのはエリアごとに担当の仲介業者がやっていて、静岡県の担当が(株)ナカタニトレーディングという株式会社だったのです。

 

 

しかし、仲介を依頼した時点から話が違っていました。

 

 

まず手数料はいくら掛かるのか?と聞いても「場合によって違う」と言われて明確な料金を教えてもらえませんでした。

 

多忙を理由に車の取材には行けないから写真と説明文を送ってくれと言われ、こちらで何枚も写真を撮り、長い説明文を加えて送信。それをもとに担当者がアレンジして販売ページを作成。

 

購入希望者が現れたらお互いの連絡の間に入り、伝言役をします。

 

そして現車確認のスケジュール調整をし、仲介人立ち合いのもと車を見に来てもらって気に入れば売買契約という流れだったのですが、これだけの作業で30万円もの手数料を請求されたのです。

 

現車確認が決まる前、金額が高すぎないかと抗議したのですが、気に入らないならサイト掲載を削除すると脅し文句のような言い方で返事を返され、仕方なくそのまま進めることに。

 

現車確認当日、新オーナーさんはその場で購入を決めてくださり、晴れて契約となりました。

そして、その日のうちに新オーナーさんの家まで約300キロ、嫁入りのために車を動かすことが決まりました。

日が暮れた後、私は新オーナーさんを乗せて夜通し高速道路を運転することになりました。

 

しかし、担当者は売買の仲介人を名乗りながら手続きに関するアドバイスはめちゃくちゃで、既に住民票のない沼津で印鑑証明を取ってこいと言われたり、後で調べたらそもそも印鑑証明すら要らないことが分かったりで、知識のない仲介に振り回されるばかりでした。

 

挙げ句、翌朝電車に乗って半日掛かりで帰っている最中、マナーモードにしていた携帯には仲介手数料の請求と思われる着信の嵐。帰ってきて気付いて携帯を開いてみると、メールに「連絡が無ければ法的手続きを取ります。」と再び脅し文句が書かれていました。私が夜から300キロも運転して、翌日電車で帰ることは担当者も知っていたのにです。

 

 

さすがに高圧的な態度に腹が立ってしまい、私はそんなずさんな対応に30万円も請求してくるのはおかしいと再び抗議をしました。

 

結局表面的な謝罪は受けたものの、30万円の請求そのままに手数料を支払うことになりました。

 

きっと、この時のやりとりが向こうにとっても腹立たしかったのでしょう。その腹いせとして私のことを調べ、都合よく犯罪歴があったことを知ったので陥れてやろうと思ったのでしょう。

 

そうでなければ、取引を終えた後になってから購入者に対して「売り主の犯罪歴」という重大な個人情報を漏らしたりしないはずです。

 

株式会社を名乗っておきながら、感情に任せて人の粗探しをして他人にそれを晒すなんて、まるで犯罪者に車を売買する権利は無いと言わんばかりのやり方でした。

 

 

非常に悲しい事実ではありますが、反面、この一件でも再び人の優しさに触れることが出来ました。

 

 

それは、私の車を買って下さった新オーナーさんの人格です。

 

 

彼はその告げ口をされた時、このようなことを言って下さったそうです。

 

「何故そんなことを取引終わった今になって、しかもわざわざ俺に言ってくるのか?」

「それ人の個人情報でしょ。そんなことをこっそり告げ口してくるなんて、お前逆に訴えられるぞ?」

「なんなら俺がセイヤー本部にこの事実を報告してやろうか?」

 

そのように(株)ナカタニトレーディングの担当者をけん制し、私を守って下さったそうです。

 

新オーナーさんはとある会社の経営者で、とても人格のある人でした。このような話をして、最後に私をこう諭してくれたのです。

 

 

「誰だって叩けばホコリの一つや二つは出る。だけど俺は自分の目で加納くんっていう人間を見て、付き合うかどうか判断してる。前科があるという事実だけで否定してくる人間となんか最初から付き合う必要はない。」

 

 

この言葉には心の底から救われました。その話を聞いた時、今度は悔しさではなく、嬉しさで涙がこみ上げてきました。

 

新オーナーさんはあの時から私の過去を知っていた上で、車を売買してから1年以上が経った今、遠く私の住む田舎まで訪ねてきてくれたのかと思うと本当に嬉しくて・・・

 

私は言葉も詰まってしまい、うつむいて蚊の鳴くような声で「ありが・・とう・・ございます・・・」と一言を言うのが精一杯でした。

 

 

犯罪者という色眼鏡で見られず、一人の人間として向き合ってもらえる。

 

きっとこれが、犯罪歴という暗い過去を持った人間が何より救われることなのだと思います。

 

 

更に新オーナーさんは、この一件は相手も分かっているのでプライバシー権の侵害という民事上の不法行為として損害賠償請求出来るとアドバイスしてくれました。

実行に移すかどうかはともかく、自分の過去を引き合いに出されて貶められても、本当に許せなければ泣き寝入りせず訴えることも出来るんだよと権利を教えてくれて、とても勇気付けられました。

 

私にアドバイスを下さる新オーナーさんの姿からは、長年会社のトップとして経営してきた人間の生き様というものが垣間見えたような気がしました。

 

 

当時は後味の悪い取引になってしまいましたが、今思えば私が大事に乗ってきた車は、まるで鶴の恩返しのように今の命を繋ぐための現金と、お金には代えられないご縁を連れてきてくれたのでした。

 

そしてその車は、今では新オーナーさんの下で元気に走り回っているそうです。新オーナーさんも非常に気に入ってくれたらしく、毎週のように乗っていて、出掛けたらこんなことがあったとエピソードを色々語ってくれました。

 

 

苦渋の決断で手放した一台のクラシックカーが、こんな形で私を救ってくれることになるとは夢にも思いませんでした。

 

大事にすれば恩が返ってくるのは人間だけでなく、モノに対しても同じなのかと、どこか不思議な因果関係を感じてしまったのでした。

 

皆さんはご自分のクルマ、大事にしているでしょうか。

 

 

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犯罪歴のある人間は車の売買も許されないのか。~仲介業者の闇~」に7件のコメントがあります

  1. なんとなく察しはつくけど、主のイギリス車が何か気になる(笑)

    いいオーナーさんですね。
    本当に鶴の恩返しのようなストーリーでした。私も経験ありますが人格者がいれば本当に救われますね。
    ブログだけの情報ですが、どのような人柄かある程度推測がつきます。末永くお付き合いしたいものですね。

    個人的な意見になりますが、アフェリエト収入もそろそろ検討すべきかな、と思いました。

    個人的な意見ですが、民事は踏み切るべきだと思います。金銭的にも精神的にも。あなただけでなく、相手方の主張を聞いて判断すべきですが、まあ論外です。個人情報がこれだけやかましく言われてるのにいまだにしないのは、ありえない。

    1. >西日本さん

      いつもお読み頂きありがとうございます。

      私は学生時代にローバーミニに乗って以来、イギリス車が好きになってしまい、ミニを手放した後もイギリス車を乗り継いできました。トップの写真はその車のヘッドライトを撮ったものです。

      車を手放すと決めた時、もう二度と再会は出来ないと思っていました。しかし素晴らしいオーナーさんに恵まれ、私がその気になればいつでも見に行けるようになったのは嬉しい限りです。

      それだけでなく、そのオーナーさんが私の過去を知りながら、一人の人間として向き合って下さったことが何より嬉しかったです。

      このようなブログでアフィリエイトなど、私としては身の程を知るべきという考えでおります。ですがブログの移行をサポートして下さった方もやってみたらいいとアドバイスを下さっていましたので、近いうちに考えてみたいと思います。ご親切なアドバイスをありがとうございます。

      民事で訴えるということに関しては、今回のケースは新オーナーさんの証言をお願いする必要がありご迷惑をおかけしますので、自分からはやらないつもりでおります。

      ただ、その会社が感情に任せて顧客の個人情報を流出される体質であるという事実は、公共の利益に関わる情報公開と判断してここに書いておりますから、今後そのサイトを利用される方が同じ被害に遭わないように気を付けて頂ければ十分だと思っています。

  2. 車はやはり、それでしたか
    実は私はミニクーパーやフィアット500などに関心がありまして、昔色々コンパクトでオシャレな車を探していました。ローバーミニも関連して検索エンジンに出てきたのでなんとなくみたことあるな、と思いました。

    民事は確かに気乗りしないならなにもしないのがいいですね。公共の利益のためにも、ここに書いて置くだけで十分な情報提供になります。二次被害を防ぐのに役立ちます。

    1. >西日本さん

      西日本さんもお洒落な車の趣味をお持ちなのですね。実際に乗られたことはあるのでしょうか?
      ローバーミニは小さい車ながら見る見るお金を吸い込んでいく、手間の掛かる車でした。憧れだけで外車に乗るのは難しいですね。今の私には夢のまた夢です。

      民事の件はお心遣いを頂いてありがとうございます。こんな小さなブログですが、二次被害という形で嫌な思いをする人がいなくなれば幸いに思います。

      1. 西日本さんもお洒落な車の趣味をお持ちなのですね。実際に乗られたことはあるのでしょうか?

        いや、ないです(笑)
        車両本体価格と維持費が高いので似たような軽自動車にしました
        コスパ重視ですね

  3. 新オーナーさんの言葉には救われましたね。私ももらい泣きしました。犯罪者である以上、人々からの非難や軽蔑がデフォルトになっている私達にとって、このような話に触れると、世の中捨てたものじゃないという感慨をどうしても持ってしまいます。

    それにしてもこの仲介業者は馬鹿ですね。卑劣ですね、と言おうとしましたが卑劣以上にタチの悪い馬鹿だと思います。実名報道されてるから、個人情報を「公の情報」とでも思ったのでしょうか。ネット上のどこの馬の骨とも分からない氏名不詳者が無断で転載した情報を「公の情報」と勘違いするとは‥‥。笑止千万ですね。

    そもそも私人についての過去の逮捕歴等が公表されるか否かは、最高裁も「ノンフィクション逆転事件」において、「その者のその後の生活状況のみならず、事件それ自体の社会的・歴史的意義、その当事者の重要性、社会的活動及び影響力について、当該表現行為の目的、性格等に照らした表現行為の意義及び必要性をも併せて判断すべき」と判断しています。
    加納さんの事件は「元JRの社員がJRの敷地内で窃盗した」という点が一般大衆受けするセンセーショナルな内容であっただけで、このような事件の公表に社会的・歴史的意義は存在しないか極小で、社会的影響力も極小の元社員の事件の公表、ましてやそれを無断で転載した記事に要保護性など存在しないのです。

    記事ですらそうなのに、それを真に受けて、しかもビジネスのディールの場面で持ち出す業者が存在するとは! ホントに驚きです。いくら気に入らない顧客でも、顧客の個人情報を相手方に暴露する思考回路にどうすればなれるのか、広学の為に教えて頂きたいですね。

    そういう意味では新オーナーさんが良識ある常識人であったことは救いですし、1台の車がもたらす当該エピソードをキッカケに新オーナーさんとの絆もますます深まることでしょう。

    仲介業者の行動には驚きですが、それを契機に人の絆が深まることがある‥‥そのような事を学ばせて頂けた記事でした。

    もう少し生きてみようと思えました。有難うございます。

    1. >RT30さん

      いつもご丁寧なコメントをありがとうございます。
      ひとつ間違いを犯せば心無い人から袋叩きに遭う時代ではありますが、そんな世の中でもしっかり人の心を持った人はいるのだと感じ、辛い時期を乗り越えて生きていてよかったと思えました。

      犯罪者というレッテルが貼られると、人権が無いも同然だと考える人は多いと思います。会社の看板を背負った人間であっても、そういう考え方をもとに個人情報を垂れ流してしまうのですから恐ろしいですね。

      RT30さんはご自身の境遇を打開すべく、本当にしっかり勉強されてきたのでしょうね。その気概があれば、今後必ず人生を良い方へ持っていけると確信します。

      ずっと応援していますので、辛い日々であっても自ら命を絶つことは絶対にせず、生きる希望を持ち続けて下さい。お互い頑張りましょう。

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